ビルメンの宿直はやめとけ?【600回やった結論と、それでも続けた理由】

ビルメンの宿直はやめとけかを600回の経験から解説するアイキャッチ画像
ビルメン10年 × IT転職成功パパ

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「宿直 やめとけ」で検索する気持ちは、正直よく分かります。

私も入社前に同じことを調べました。24時間拘束、深夜の見回り、仮眠は取れるのか取れないのか。ネットには「絶対やめとけ」と「意外と楽」が両方あって、結局どっちなんだと思いながら入社しました。

それから10年、月5回ペースで宿直をやり続けて、回数にするとおよそ600回になります。その結論を先に書きます。

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結論:やめるべきかは「人による」ではなく「現場による」

よくある結論は「向き不向きがあるから人による」です。これは半分逃げだと思っています。

同じ人間が同じ体力でやっても、現場が変われば宿直のきつさは天と地ほど違います。私は10年で3つの現場を経験しましたが、朝までほぼ寝られる現場と、2時間おきに叩き起こされる現場がありました。同じ「宿直」という言葉で呼ばれているのが不思議なくらいです。

だから判断すべきは「自分が宿直に向いているか」ではなく、「その現場の宿直がまともか」です。ここを間違えると、向いている人でも潰れます。

見分け方は記事の後半に書きます。まず「やめとけ」と言われる理由が本当なのかを、1つずつ検証していきます。

「やめとけ」の理由は当たっているか【4つを検証】

ネットでよく見る「宿直やめとけ」の理由を、実際に600回やった立場で判定します。

よく言われる理由 判定
体を壊す 当たっている
家族との時間が合わない 当たっている
暇すぎて逆につらい 半分違う
スキルが身につかない 違う
宿直やめとけと言われる4つの理由が当たっているか判定した表
600回やった立場での判定

当たっている:体は確実に削られる

これは擁護のしようがありません。20代のうちは明けの日に寝れば戻りましたが、30代に入ってから戻らなくなりました。

私の場合、はっきり自覚したのは32歳のときです。宿直明けの翌日まで頭が重い日が増えて、休日を1日まるごと寝て潰すようになりました。週休2日のうち1日が「回復のための日」に消えていくのは、地味に人生を削られている感覚があります。

当たっている:カレンダーが人と合わなくなる

土日祝も関係なくシフトが入ります。友人の結婚式に呼ばれても、シフト交代を頼むところから始まります。

【正直な話】独身のうちは正直そこまで困りませんでした。効いてくるのは家族ができてからです。夜勤のきつさをまとめた記事にも書きましたが、私が一番こたえたのは体力面ではなくこちらでした。

半分違う:暇かどうかは現場で真逆になる

「宿直は暇すぎてつらい」という声はよく見ますが、これはまともな現場に当たった人の感想です。

私が2番目にいた商業施設は、深夜に空調のトラブルとテナントからの連絡が続いて、暇どころではありませんでした。逆に3番目のオフィスビルは、22時以降ほぼ何も起きませんでした。

つまり「暇でつらい」と言えるのは恵まれているほうで、本当にきついのは暇じゃない宿直です。この違いは求人票を見ても書いていません。

違う:スキルは身につく。ただし自分で取りに行った場合だけ

「宿直はスキルが身につかない」というのは、はっきり違います。

ただし条件があって、待機時間を自分で使った人だけです。私はこの時間で資格を全部取りました。次の章で具体的に書きます。

それでも10年続けた理由【資格を全部この時間で取った】

きついと書いておきながら10年続けたのは、宿直の待機時間が他の仕事では絶対に手に入らない資産だったからです。

1回の宿直で確保できる勉強時間

現場によりますが、私の場合は巡回と記録を終えた後に、まとまった時間が取れました。ここを勉強に充てると、年間でこうなります。

条件 計算 年間の勉強時間
1回の宿直で2時間 2時間 × 月5回 × 12ヶ月 120時間
1回の宿直で3時間 3時間 × 月5回 × 12ヶ月 180時間
宿直の待機時間で作れる年間の勉強時間を示したグラフ
宿直の待機時間だけで年間120〜180時間を確保できる

年間120〜180時間です。日勤だけの仕事で、帰宅後にこれを積むのは相当きついはずです。

私はこの時間で第二種電気工事士、危険物乙4、2級ボイラー技士、第三種冷凍機械責任者、消防設備士甲4、そして電験三種とビル管理士まで取りました。持っている資格は全部、宿直中に取ったものです。

特に電験三種は約1,000時間かかりましたが、そのかなりの部分が宿直の待機時間でした。日勤の仕事をしながらだったら、3年では終わらなかったと思います。

どの資格をどの順番で取ったかは ビルメンのおすすめ資格ランキング に、電験三種の具体的な勉強法は 電験三種の勉強法 にまとめています。

逆に言うと、勉強しないなら宿直の旨味はない

【正直な話】同期に、宿直中ずっとスマホを見ていた人がいました。彼は5年目で辞めましたが、資格は何も持っていませんでした。

宿直は時間をもらえるかわりに体を差し出す働き方です。もらった時間を使わないなら、体を削っているだけになります。600回やった実感として、ここが分かれ道だったと思います。

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知っておくべき「宿直」の法律上の扱い

ここは意外と知られていないので書いておきます。宿直には労働基準法上のルールがあります。

宿直は「労働」ではなく「断続的労働」として扱われている

労働基準法41条3号にもとづいて、会社が労働基準監督署長の宿日直許可を受けている場合、その宿直には労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。だから宿直の時間に残業代がつかない、という仕組みになっています。

許可が下りる条件は、労働密度が低く、ほとんど労働する必要がない勤務であることです。定期巡回、電話や文書の受け取り、非常事態への待機などが該当します。

ただし、こういう場合は賃金が発生します

  • 許可を受けていない場合:通常の時間外労働として扱われ、割増賃金の対象になります
  • 深夜に実際に作業した場合:許可があっても深夜割増(22時〜5時・25%以上)は適用除外になりません
  • 通常業務が常態化している場合:その時間は労働時間として扱われます
  • 仮眠中に呼び出しや巡回が義務づけられている場合:仮眠時間が労働時間と判断される傾向があります

つまり「宿直中ずっと働きっぱなしなのに手当だけ」という現場は、法律上おかしい可能性があります。本来それは宿直ではなく、日勤・夜勤の交代制にすべき状態です。

手当の額にも基準があります。宿日直1回につき、その事業場で宿直をする同種労働者の1日平均賃金の3分の1を下回らない額を支給することが、許可の条件とされています。自分の手当がこれを大きく下回っていないか、一度確認してみてください。

この宿直はやめとけ【現場の見分け方】

最初に「現場による」と書きました。では、どういう現場をやめておくべきか。面接や見学で確認できるポイントを挙げます。

確認すること 危ないサイン
深夜の呼び出し頻度 「たまにありますね」と濁される
仮眠室の有無と場所 仮眠室がない/防災センターの椅子で仮眠
宿直の人数 大規模施設なのに1人体制
宿日直許可の有無 担当者が制度自体を知らない
明けの日の扱い 明けで通常勤務が入ることがある
やめておくべき宿直の現場を見分ける5つの危険サイン
面接や見学で確認したい5つのポイント

特に見てほしいのが仮眠室です。ちゃんとした仮眠室があるかどうかで、宿直の質は決定的に変わります。私が一番きつかった現場は、仮眠室が機械室の隣にあって、常に低い振動音が聞こえていました。あれで眠るのは無理でした。

【正直な話】面接でここまで聞くのは気が引けると思うかもしれませんが、聞いて嫌な顔をする会社なら入らないほうがいいです。まともな会社なら普通に答えてくれます。

宿直をやめたいなら、辞める前にできること

「もう無理だ」と思ったとき、いきなり退職を考える必要はありません。段階があります。

①同じ会社で現場を変えてもらう

会社に複数の物件があるなら、現場異動を相談するのが一番早いです。同じ会社でも現場が変われば宿直の中身は別物になります。私も3現場を経験して、そのたびに体感が変わりました。

②宿直の少ない系統に移る

自社ビル系・官公庁系は宿直が少ない傾向があります。逆に商業施設・ホテル・病院は多くなりがちです。系統ごとの違いを押さえてから求人を見ると、失敗が減ります。

③宿直で取った資格を持って外に出る

私が最終的に選んだのはこれでした。宿直中に取った資格そのものより、「働きながら難関資格を取り切った」という事実が評価されて、IT業界に移りました。

600回の宿直は、体は削られましたが、そのぶんの資産は残りました。ビルメンからIT転職した話に経緯を書いています。

宿直をやめとけと言われたら、私の答えは「使い切る覚悟がないならやめとけ」です。時間をもらって何もしないなら、体を削っているだけになります。逆に使い切るつもりなら、これほど資格取得に向いた働き方は他にありません。

📑 法令に関する出典

内容 出典
宿日直許可制度・断続的労働(労働基準法41条3号)、深夜割増賃金、宿日直手当の基準 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/
労働基準法の条文 e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/

※本記事の法令解説は一般的な内容です。個別の労働条件については、勤務先の就業規則や所轄の労働基準監督署にご確認ください。宿直の回数・時間・手当は現場や会社によって大きく異なります。

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